研究概要 |
当該年度では,本衝動タービンの幾何形状が高波浪パワー時のプラント性能に及ぼす影響の解明を目的として研究を実施した.具体的な実施内容は次の通りである. (1)往復流式衝動タービンの設計・製作 設計条件に基づき,本衝動タービンと発電機を組合せたタービン試験装置の設計・製作を行った.当該年度では,発電プラントの性能に及ぼすタービン幾何形状の影響の解明を目的とするが,特に影響が大きいと考えられる動翼形状および案内羽根取付角を中心に調査できるように,種々のタービンを製作した.なお,従来の研究では解明されていないタービン形状の基本データがあり,風洞によるタービンのモデル試験を行った.また,研究実施計画ではタービン直径を300mmとしていたが,タービンの高速化により発電機の小型化を図るため,その直径を200mmに変更した. (2)タービン試験装置の組立・調整 タービンと発電機を接続しタービン試験装置を組立てるとともに,装置の調整を行った.さらに,モータを用いてタービンを高速回転させることで耐久性を評価した.しかし,特に往復気流やタービンの回転による振動に対する案内羽根の強度に問題があることがわかり,再度タービンの設計・製作を行い,モータによる試験で耐久性を確認した. なお,当初の実施計画では,「実海域試験データの取得・解析」により,タービンの出力と回転数を測定するとともに測定データの解析を行い,波力発電用衝動タービンを使用した発電プラントの総合エネルギー変換効率を算出する予定であった.しかし,項目(1)および(2)の実験期間が延びたこと,さらに日本海側における冬季の海象条件のため,当該年度において実海域試験は実施できず,次年度に計画することになった.
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