研究概要 |
平成22年度の研究計画は、1)格子移動処理ルーチンの開発、2)6自由度船体運動計算ルーチンの開発、3)格子間補間情報計算コードの効率化、4)流体ソルバーと格子間補間情報計算コードとの間での、データ受け渡し部分の検討の4項目であった。項目1)については、移動格子法(重合格子ではなく、船体近傍の格子のみが船体運動に伴って移動=計算格子が部分的に変形し、外周境界は固定されたままの状態とする方法)を用いて、各タイムステップで、計算格子が部分的に移動・変形するルーチンを開発した。本手法を用いて、強制・予測運動に伴って計算格子が然るべき位置に移動することを確認した。本手法は、動的重合格子(=格子変形ではなく、ブロックそのものの移動により運動を考慮)へ容易に置き換えることが可能となっている。項目2)については、予測運動計算ルーチンを開発し、流場方程式とのカップリング(弱形式・強形式)を含めた検討を行った。その結果、強形式を用いたカップリングにより、大振幅の運動をロバストに解くことが出来、動的重合格子を用いる際にも、本手法を採用すべきことを確認した。項目1)、2)の成果を用いて、船体の強制運動シミュレーション(Pure sway)および単純形状を用いた予測運動シミュレーション(Surge & Sway, Pitch & Heave)を実施し、計算結果を実験値等と比較することにより、開発した手法の妥当性を検証し学会発表を2回行った。項目3)および4)の格子間補間情報を計算する部分については、従来の三重線形補間を用いる方法に加え、Laplacian-weighted averageを用いた補間方法、流場全体をスプライン関数で補間し、格子間補間情報ではなく補間された流場そのものを求める方法を検討した。本検討は、次年度も引き続き行う予定である。
|