研究課題
本研究は、位相共役波を用いた長距離音響通信において、送波器、受波器の移動、あるいは、音速分布の時間変動などによりチャンネルレスポンスが変化することによる影響を補償する方法を検討することが目的である。平成23年度は、Kim、Songらによって考案されたCIR (channel impulse response) updating と呼ばれる手法を導入し、シミュレーションでその有用性を検証したが、平成24年度は、これを実海域試験で取得したデータに適用した。その結果、従来手法では、復調が不可能だったデータに対しても、CIR updatingを用いることで、復調が可能になった。駿河湾で行った実験では、送波器を0.5m/sで曳航したが、この受信データにおいても良好に復調が可能となった。さらに、平成25年度は、シンボルのタイミングを直接調整する手法を考案し、これを位相共役波による収束後の波形に適用することで、従来よりも格段に高速な移動にも適用することが可能となった。この方法では、定常な移動に関しては、初段のドップラー推定器に基づいた推定値に基づいて、シンボルのタイミングを補正する。また、動的な変動に関しては、シンボルの位相誤差を用いて、同様にシンボルのタイミングを補正する。この手法によって、例えば、係留した受波アレイが、動揺するような場合にも追随することが可能となる。送波器の移動を考慮したノーマルモード法によるシミュレーションで、この手法の効果を検証した結果、20m/sを超える高速な移動にも十分対応できることが分かった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Acoustical Society of America
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