研究課題
本研究では、深海底という海洋環境をモデルに微生物生態学、生化学および電気化学的手法を用いて、微生物による金属腐食の分子的機序を解明する事を最終目的としている。本年度は、昨年に引き続き直接的および間接的に金属腐食をもたらす微生物の培養手法の検討を行うと共に、深海熱水域に生息する鉄利用微生物および硫黄利用微生物の生態についての調査を進めた。本研究期間内に採取した深海底に存在する酸化鉄被膜地帯(天然の金属腐食地帯)の堆積物や周辺海水サンプルを用いて微生物調査を行う事で、酸化鉄被膜地帯における鉄依存型の微生物生態系の存在と、酸化鉄被膜形成における寄与の大きさを明らかにした。さらに、それら微生物の存在様式と鉱物との関係を明確にするための手法の確立した。これは放射光X線解析技術とFISH法を組み合わせることで、微生物の影響を受けた鉱物の直接的な観察が可能となるというものである。この手法により、腐食部などの微小領域における微生物の影響力(微生物-金属元素相互作用)を知ることが可能となった。さらに、培養困難な深海環境に生息する微生物の培養手法として、フロー型の培養装置が有効であることを明らかにした。以上のように、微生物による金属の腐食機構の解明に貢献できる新しい分析手法を確立したとともに、腐食を齎す微生物の培養にも成功し、深海底における微生物腐食に関する知見を得ることが出来た。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Microbes & Environments
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