研究概要 |
昨今,微細藻類由来のバイオ燃料生産に関心が集まっている.申請者は,これまで優れた生産能や生体機能を有するが用途開発に課題があった緑藻Chlorococcum littoraleを用いた基礎培養実験および抽出分離生産の検討を行っている.平成23年度は,22年度に導入したLED支援通気振盪培養システムを用いてハイブリッド培養に関する基礎知見を得た.すなわち,紅藻Porphyridium purpureumからは,N源欠乏下かつ低光強度の条件で細胞外分泌多糖の生産性向上が確認され,従属栄養培養と光独立栄養培養を組み合わせた方法論構築の可能性が示唆された.さらにこの結果を受けてC.littorale培養において有機・無機源の探索を種々行ったところ二酸化炭素高濃度条件においてアルカリ土類金属などの無機成分の選択的除去により増殖速度の向上が確認された.さらに,増殖・脂質生産に与える光源の影響を検討したところ従来から用いてきた白色蛍光灯と白色LEDで差は生じず,産業財産権を獲得した撮影画像から藻類濃度を決定する手法からもそのことが確認された.分離生産については,超臨界二酸化炭素に希ガスとしてアルゴンを添加した系においてカロテノイド中のキサントフィル類の選択的除去が達成された.超臨界二酸化炭素にエタノールを0,10,20mol%添加した系では,濃度順にトリグリセリド,糖脂質,リン脂質がそれぞれ獲得できた.さらに抽出物を水中に分散させる系などを検討することでさらなる選択的なカロテンの抽出が達成される可能性があり,この点は今後の検討課題である.
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