本研究は、プラズマの異常輸送改善を目的としたプラズマ密度分布測定の高精細化を目指し、デジタルミリ波干渉計を新たに提案し原理実証を行ったものである。 デジタルミリ波干渉計は、送信用アンテナから放射されるミリ波の放射方向が入力周波数毎に異なることを利用し、複数の異なる周波数のミリ波を同時にアンテナに入力することで、扇状の測定コードをプラズマ中に配置し、プラズマの密度分布測定を行う。プラズマ中を透過したミリ波を1つの受信ホーンで受信し、周波数分解し位相検出を行うことで、単純な回路で密度分布測定が可能となる。 本研究では、はじめに送信用アンテナとしてImage Non-Radiative Dielectric Guide (INRDG) アンテナを開発し、70-78GHzの入力周波数に対して約25°の放射方向可変特性を確認できた。次にデジタルミリ波干渉計の原理実証実験を行うべく、実験室においてプラズマを模擬した幅30mm、厚さ3mmのアクリル板に対して干渉計の適用を行った。提案している干渉計信号の位相検出は、高速大容量デジタルオシロスコープと信号処理ソフトを用いるものであるが、今回は簡易に約10GHzのベクトルネットワークアナライザを利用し、その信号を70GHz帯にアップコンバージョンして位相の検出を行った。測定のリアルタイム性を犠牲とするが、位相検出という原理実証に関して本質的な違いはない。実験の結果、測定周波数を変化させるとアクリル板がある場所に対応する周波数で位相の変化が確認された。アクリル板の有無による位相変化のみを抽出し、位相変化と入力周波数(測定位置)をプロットしたところ、位相が変化した領域はアクリル板の位置に1mm程度の誤差で一致した。また位相の変化量はアクリル板の厚みから算出される移送量と一致したことから、提案したデジタルミリ波干渉計を実証することが出来た。
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