研究課題
本研究課題では、国際熱核融合実験炉(ITER)や大型ヘリカル装置(LHD)のような磁場閉じ込めプラズマでの異常輸送機構に対する定量的理解を与えるため、実際の実験を反映した平衡磁場や幾何形状効果を組み込んだシミュレーション解析を進めてきた。解析には3次元平衡配位の磁場成分や磁気面形状効果を正確に考慮できるよう新たに開発したジャイロ運動論的コード「GKV-X」を用いた。最近のLHD実験において行われた高イオン温度放電では、2次元位相コントラスト・イメージング(PCI)計測によりプラズマ密度揺動分布が詳細に測定されている。この揺動はイオン温度勾配が急峻な場所で振幅が増大し、且つ揺動の伝搬がイオン反磁性方向に進行するという、イオン温度勾配(ITG)不安定性の特徴を有している。そこで平成22年度は、GKV-Xコードを用いて上記の放電におけるITGモードおよびゾーナルフローに関するシミュレーション解析を進め、同放電で観測された揺動に対するITG不安定性からの説明を試みた。解析結果からは、実空間および波数空間上の観測揺動のピーク位置においてITGモードは最も不安定になっており、不安定性の臨界温度勾配からの差も最大になっていることが明らかになった。この結果は、観測された揺動がITG不安定性に起因している可能性を強く示唆するものである。一方、ゾーナル・フロー応答については、これまでの理論予測に従い、応答関数が磁場スペクトルに依存する中、その残存レベルは径方向波数の増加に応じて上昇することも確かめられた。
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Plasma and Fusion Research
巻: 6 ページ: 1403001-1-1403001-8
巻: 5 ページ: 016-1-016-8
http://www-nsrp.nifs.ac.jp/activity/activity05.html