研究課題/領域番号 |
22760662
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
諫山 明彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (90354597)
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キーワード | 磁気島 / 新古典テアリングモード / MHD / 電子サイクロトロン波 / 電流駆動 / トカマク / プラズマ / 核融合 |
研究概要 |
本研究での目標は、(1)JT-60Uを初めとするトカマク型装置、およびヘリカル型装置における磁気島(磁気島に類似した現象も含む)の挙動の解明、(2)JT-60SAなどの将来の装置における磁気島の予測・制御装置の開発、(3)磁気島を能動的に制御することが可能な装置の1つである電子サイクロトロン加熱/電流駆動装置の開発から構成される。本年度の本予算枠では、(1)と(4)について研究を行った。(3)に関連して、JT-60SAにおける新古典テアリングモード(NTM)安定化について検討した。その結果、110GHzまたは138GHzの電子サイクロトロン(EC)波を7MW入射することにより、NTM発生位置において自発電流密度と同程度以上のEC電流駆動が可能であり、効果的なNTM安定化や電流分布制御が可能であることがわかった。また、実機での発振実証として、2周波数ジャイロトロンの開発運転を開始し、110GHzで1MW、138GHzで0.5MW(発振幅はいずれも0.1秒)の発振に成功し、2周波数発振に向けた見通しが得られた。既存の110GHzジャイロトロンを用いた開発では、1MW出力で70秒、1.4MW出力で9秒間(いずれも110GHz帯の同パワーでは世界最長)の維持に成功した。これらの成果を第24回IAEA核融合エネルギー会議(米国・サンディエゴ)およびプラズマ・核融合学会第29回年会(福岡・春日)で発表した。(1)に関連して、米国・ジェネラルアトミックス社のDIII-DにおけるNTM磁気島について検討した。DIII-Dにおいては、JT-60Uと同様に、NTM磁気島が成長するとともにモード周波数が減少することが観測されている。また、モード周波数が減少した後は、周波数が時間的に不規則に変化する点も似ている。計測データによるとプラズマ回転が不規則になっている可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トカマク装置JT-60Uにおける磁気島の特性に関する解析が進展した。ヘリカル装置LHDにおける磁気島および類似した現象について検討を開始した。磁気島を能動的に制御するための手段の1つである電子サイクロトロン加熱(ECH)/電流駆動装置(ECCD)の開発において、高パワー・長パルス出力、2周波数ジャイロトロンでの発振ができた。また、JT-60SAやITERにおける磁気島制御に向けたECH/ECCD性能予測についても進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成25年度もこれまでの成果を踏まえて継続する。米国・ジェネラルアトミックス社のDIII-Dのデータ解析に関しては、磁気島制御実験に関するマシンタイムが確保できない可能性も考慮し、既存のデータを用いた解析で得られる結果を検討する。
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