今年度の研究項目は、(1)複数のトカマク型装置における磁気島の比較、(2)JT-60SAなどの将来の装置における磁気島制御に向けた予測計算、(3)磁気島の能動的制御が可能な装置の1つである電子サイクロトロン(EC)加熱/電流駆動装置の開発から構成される。(1)に関連して、米国・ジェネラルアトミックス社のDIII-Dトカマクにおける磁気島の解析を行った。DIII-Dではm/n=2/1(mはポロイダルモード数、nはトロイダルモード数)の磁気島を外部磁場摂動によりトロイダル方向に回転させた際、ミリ秒オーダーで急速に起こる崩壊現象が観測された。解析の結果、崩壊はm/n=2/1および3/2の共鳴面付近で最も早く観測されており、また、崩壊直前にm/n=3/2の磁気島が成長していることがわかった。このことから崩壊現象は2つの磁気島の結合により現れた可能性がある(JT-60Uでは観測例なし)。また、磁気島の構造を解析した結果、磁気島の回転が低下するにつれて磁気島が歪んで見えることがわかった。同様の現象は過去にJT-60Uにおいて観測されており、このことはEC波のパワー変調により磁気島を安定化する際にはこの歪みを考慮に入れる必要があることを示唆している。(2)に関しては、JT-60SAおよびITERにおける電子サイクロトロン電流駆動(ECCD)特性の計算を行った。前者においては、各種の平衡において駆動電流量を最大化するための入射条件を明らかにした。後者においては、水平ランチャーからの新しいEC波入射範囲に基づくECCD特性を計算した結果、新しい駆動範囲により電流駆動位置が拡大できることがわかった。(3)に関しては、2周波数ジャイロトロンの開発を進め、110GHzと138GHzの周波数において出力1MW、出力時間10秒を達成し、最終目標(1WM、100秒)に向けて明るい見通しを得た。
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