オブジェクト指向言語C++を用いて、磁場閉じ込めプラズマの乱流シミュレーションコードの基本となるクラスの構築を行った。この基本クラスは磁場に垂直な平面を想定した2次元空間におけるデータとそれに付随した処理を行うメンバ関数が定義されている。具体的には算術・代入演算子の再定義の他、平均の計算、ポアソン括弧式の計算する関数や、2次元ポアソン方程式を解く関数などが定義されている。この2次元基本クラスの検証のため、このクラスを用いて2次元Kelvin-Helmholtz問題を解くコードを開発した。これは2次元空間での渦方程式とポアソン方程式からなる方程式系を数値的に計算しプラズマ流の安定性を解析するもので、数値計算結果は過去の文献の結果とよい一致を示しており、正しく動作することを確認した。この2次元基本クラスを部品として用いれば、3次元以上のプラズマ乱流コードを比較的簡単に構築することができる。 磁力線方向の正準運動量を独立変数の1つにとる電磁的ジャイロ運動論モデルの定式化では、磁場揺動を無視した静電的な場合と同様にジャイロ中心変換が容易になり、高次の補正項を含む定式化ができる。このとき、磁場のアンペール則の電流の部分にBanos項と呼ばれるものに関係した補正が現れることがわかった。磁力線方向の正準運動量を変数に用いる電磁的ジャイロ運動論モデルでは、アンペール則を数値的に解くときに問題が生じることがある。この電流部分の補正は、特に磁力線に垂直な方向に長波長な揺動を考えるとき重要となる可能性がある。
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