1.統合モデル・コードの開発・改良:粒子補給固体ペレット入射コードを開発して、炉心・周辺統合コード(炉心プラズマの1.5次元輸送コードTOPICSに周辺プラズマの5点モデルを結合した統合コード)に結合した。これにより、多重輸送障壁の分布形成・崩壌のペレットを用いた制御研究を可能とした。 2.境界輸送障壁崩壌の熱排出特性評価と抑制制御:開発した統合コードを用いたシミュレーションにより、境界輸送障壁内側の圧力勾配の急峻化により不安定モードの固有関数が広がり、境界輸送障壁崩壊による熱排出を増加させることを明らかにした。さらに、この予測をJT-60Uの実験解析により確かめ、モデルの妥当性を確認するとともに実験で未解明の機構を統合シミュレーションで初めて明らかにすることができた。また、境界輸送障壁に固体ペレットを入射するシミュレーションを行い、ペレットによるエネルギー吸収と輸送の増幅の2つの効果が崩壌を誘起することを明らかにし、それらの効果の局所性のために不安定モードの固有関数が狭くなり、その結果、熱排出を抑制できることを明らかにした。得られた結果は概ね実験で観測された結果と一致しており、実験で未解明だったペレットによる崩壊誘起機構を明らかにでき、熱排出抑制に対するペレットの有効性を示すことができた。 3.研究調査および成果発表:ヨーロッパ共同体の核融合研究で中心的役割を担う英国Culham研究所を訪問し調査・議論を行い、コード統合化手法や関連する研究について情報を得た。また、第20回International Toki Conferenceで招待講演、第23回IAEA Fusion Energy Conferenceでポスター発表を行うなど、得られた研究成果の発表を行い、調査・討論を通して、崩壌現象とその制御等の情報を得た。
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