研究課題/領域番号 |
22760665
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
林 伸彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (10354573)
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キーワード | 核融合プラズマ / 輸送障壁 / 熱排出 / ダイバータ / 統合コード / シミュレーション / 分布形成 / 分布崩壊 |
研究概要 |
1.統合モデル・コードの改良:炉心・周辺統合コード(炉心プラズマの1.5次元輸送コードTOPICSに周辺プラズマの5点モデルを結合した統合コード)に粒子補給固体ペレット入射コードを結合したコードを改良して、多重輸送障壁の分布形成・崩壊のペレットを用いた制御研究を効率良く行えるようにした。 2.境界輸送障壁(ETB)崩壊の熱排出抑制制御:開発した統合コードを用いて、ペレットを様々な条件で入射するシミュレーションを行い、熱排出特性を調べた。自然発生するETB形成・崩壊サイクル中の遅い入射タイミングの場合、熱排出量は変化しないが、早い入射タイミングならば条件次第で熱排出を低減できることを明らかにした。自然発生崩壊直後の入射では、小さいあるいは遅いペレットで熱排出は低減できる。一方、中間の入射タイミングでは、高(低)磁場側から、より大きい(小さい)あるいは遅い(速い)ペレットで、熱排出を低減できることが分かった。早いタイミングや大きいペレットだとプラズマの高圧力化を阻害する恐れがあるため、熱排出低減と高圧力化の両立性を今後検討する必要がある。 3.ETB崩壊の内部輸送障壁(ITB)への影響:JT-60Uの実験で妥当性を検証した箱型ITBを模擬する輸送モデルを用いて、ETB崩壊のITBへの影響をシミュレーションで調べた結果、崩壊が直接に電流分布を変化させない条件下では、電流分布の摂動はITB位置までは伝わらず磁気シアに大きく依存して形成されたITBには、ほとんど影響しないことが分かった。今後、放物型ITBへの影響を調べる予定である。 4.研究調査および成果発表:プラズマシミュレータシンポジウム2011で招待講演、第13回Hモード物理と輸送障壁に関する国際ワークショップでポスター発表を行うなど、得られた研究成果の発表を行い、調査・討論を通して、関連する研究の情報を得だ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
東日本大震災による被災および福島原発事故対応の業務のため研究を中断したため。研究者の所属研究機関である日本原子力研究開発機構は、福島原発事故対応のために職員を福島県、文部科学省等に一定期間派遣しており、研究代表者も派遣され派遣期間中は研究を中断した。
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今後の研究の推進方策 |
福島原発事故対応の業務のため、今後も研究が中断する恐れがある。中断による研究遂行への影響を最小限にするために、次の2つの項目に絞って研究を遂行して成果を得る予定である。 (1)境界輸送障壁の熱排出抑制条件とプラズマの高圧力化との両立性 (2)境界輸送障壁形成・崩壊による内部輸送障壁への影響
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