本研究課題では、将来の核融合炉や国際熱核融合実験炉(ITER)の定常運転に不可欠な周辺部輸送障壁における周期的崩壊現象(ELM)を能動的・受動的手法を用いて制御する手法を確立することを目的としている。本年度は、他装置における実験計画の関係で、プラズマ周辺部への電子サイクロトロン波/低域混成波入射による能動的ELM制御手法の研究を中心に実施した。JT-60装置では、ペデスタル部近傍に電子サイクロトロン波(ECW)を連続入射することによってELMの周期と大きさが制御できることが確認でき、その成果を第23回IAEA核融合エネルギー会議で口頭発表するとともに、学術雑誌に投稿した。この結果を基にASDEX Upgrade装置の実験データを解析し、ASDEX Upgrade装置においてもECWの定常入射でELMの周期と大きさを制御できることを確認した。また、JT-60装置とASDEX Upgrade装置ともに、ECWにより駆動される電流量はペデスタル部近傍のプラズマ電流と比べて小さく、ELM特性の変化は電流駆動に起因するものではないと考えられる。さらに、Alcator C-Mod装置における周辺部低域混在波(LHRF)入射実験も実施した。LHRFのパワーや位相といったパラメータをスキャンし、ペデスタル部の密度・温度分布の応答を調べた結果、以下を明らかにした。(1)LHRFパワーの増加に伴い、プラズマ密度の減少率と減少量が大きくなること、(2)0.3MW以上のLHRFパワーでは、プラズマ密度の減少量に大きな違いはないこと、(3)プラズマパラメータの有意な応答を得るには、0.2MW程度のLHRFパワーが必要なこと、(4)ペデスタル内部にLHRFが伝播しない条件でもプラズマ密度が減少すること、を明らかにした。
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