多流体輸送コードTASK/TXを実形状平衡に対応させるための研究を進展させた。結合する平衡コードをプラズマ体積が拡大するフェーズの解析にも適用させるため、磁束保存平衡スキームを改良した。 TASK/TXの粒子輸送は連続の式によって扱われるために直接的に粒子拡散係数を方程式に含めることが出来ないため、準線形理論に基づく乱流粒子輸送を起こすモデルを導入し、径電場との関連性も含めモデルの物理的・数値的性質を明らかにした。さらに、二流体方程式系と適合する新古典輸送モデルを開発し、それを導入して様々な新古典的性質が再現できているかどうかを調べた。 粒子軌道追跡モンテカルロコードOFMCを改良して、径方向電流トルクを評価できるようにした。欧州の同種のコードとトルクについてベンチマークを行った結果、極めて高い一致を示した。この機能を用いて核融合実証炉で核反応が作り出すアルファ粒子が自発的なトルクを生じさせるかどうか研究を行った。理想軸対称系では正味のトルクは得られないことが分かった。この知見は、核融合試験炉における性能予測やモデル開発に大きく役立つものである。 (繰り越し分による研究)新古典現象による電子の遮蔽効果によって中性粒子ビーム入射によって電流が駆動されることが知られていたが、これまでのモデルは衝突率の依存性が含まれていなかった。また、TASK/TXモデリングにおいてもビームイオン運動方程式を解くに当たって遮蔽因子を陽に含めるかどうか分かっていなかった。モーメント法に基づく新古典的手法によって衝突率依存性を含む新しい遮蔽因子モデルを発見するとともに、TASK/TX方程式系では電子とビームイオンの摩擦項を含めることで遮蔽因子は陰に含まれることが分かった。
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