研究課題/領域番号 |
22760667
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
本多 充 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (90455296)
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キーワード | 新古典輸送 / プラズマ回転 / 径電場 / 径方向電流 / トカマク / ビーム駆動電流 / 遮蔽因子 / 分極電流 |
研究概要 |
多流体輸送コードTASK/TXを磁気面座標系に対応させるための研究を進展させた。磁気面座標系においては新古典現象など磁力線方向の運動が重要となるため、従来の円柱座標系ではポロイダル・トロイダル方向に取っていた座標系を磁力線・トロイダル方向へと書き直し、トカマクプラズマの理論体系と高い親和性を持つ方程式系へと書き換えた。小旋回半径オーダリングを用いて方程式ごとに主要項を特定し、プラズマにおける主要な力のつり合い関係を全て記述するようにした。従来のTASK/TX向けに開発した粒子輸送・新古典輸送モデル等を新しい座標系においても適用可能な形に再導出することに成功した。 径方向電流と径電場の関係について理論的に調べた。これまで径方向電流トルクがTASK/TXシミュレーションで再現できることは分かっていたが、プラズマ内部で何を媒介に高速イオン径方向電流の発生に伴いイオン径方向電流が変化しているのか分かっていなかった。基礎方程式の解析的な手法により径電場の時間変化による分極電流が短い時間スケールでは主要な役割を果たし、比較的長い時間スケールでは輸送現象の変化がそれに代わることが分かった。これにより、TASK/TXによるシミュレーション結果を理論的に解釈できるようになった。 新古典現象による電子の遮蔽効果によって中性粒子ビーム入射によって電流が駆動されることが知られていたが、これまでのモデルは衝突率の依存性が含まれていなかった(依存しない仮定に基づいていた)。また、TASK/TXモデリングにおいてもビームイオン運動方程式を解くに当たって遮蔽因子を陽に含めるかどうか分かっていなかった。モーメント法に基づく新古典的手法によって衝突率依存性を含む新しい遮蔽因子モデルを発見するとともに、TASI/TX方程式系では電子とビームイオンの摩擦項を含めることで遮蔽因子は陰に含まれることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TASK/TXの方程式系を導出する上で不可欠となる物理の理解やモデルの導出が順調に進み、多種のモデルが自己無撞着な形でTASK/TX方程式系定式系に導入できる準備が整ったため。後は方程式系を閉じ、数値的に実装する作業が残っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はTASK/TXの方程式系を完全に導出し終え、数値実装作業を行う。また、TASK/TXモデリングの妥当性を担保し、新たなモデル開発のプラットフォームにするため、拡散型輸送方程式に基づく統合コードTOPICSに径電場とトロイダル回転を解くモジュールを実装しモデル開発を進める作業を並行して行っている。今後は運動量輸送や回転物理の知見はTASK/TXのみならずTOPICSも用いて行うことでスピードアップを図る。
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