本研究では、トカマク式核融合炉においてプラズマ周辺部に形成される輸送障壁によって閉じ込めが改善される高閉じ込めモード(Hモード)を対象として、周辺プラズマ構造と周辺部に局在する不安定性に及ぼす影響を理解し、将来の核融合炉における周辺プラズマ性能を定量的に予測することを目的としている。今年度は英国カラム研究所のJET装置における金属壁導入によるHモード実験に参加し、周辺プラズマ構造への影響に関して解析を行う。また、独立行政法人日本原子力研究開発機構JT-60UにおけるHモード周辺プラズマに対する水素同位体効果に関する解析を実施し、論文発表を行った。JET装置における金属壁導入によるHモード周辺プラズマ構造への影響に関する実験では、燃料ガスパフによるスクリーニング効果によって主プラズマ部への金属流入は防ぐことが可能であることが分かった。JT-60U装置における水素同位体効果に関する研究では、重水素のエネルギー閉じ込め時間は軽水素のそれより約1.2-1.3倍長いことが分かった。周辺プラズマ圧力は水素同位体種によらず全ポロイダルベータによって決まることを示した。本研究結果は米国サンディエゴで開催された第24回核融合エネルギー会議において口頭発表に選抜された。
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