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2011 年度 実績報告書

常温無機イオン液体を用いたウランの電解還元による回収及び反応メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22760672
研究機関京都大学

研究代表者

上原 章寛  京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30402952)

キーワードウラン / 電解還元 / 再処理 / XAFS / 溶液化学 / 無機イオン液体
研究概要

使用済燃料の再処理技術として現在PUREXによる湿式再処理法とともに高温溶融塩に代表される乾式再処理法が検討されている。本研究では、高温溶融塩に代わる媒体「無機イオン液体」を用いてまず(1)ウランイオンの酸化還元反応の素過程について調査し、ウラニルイオンがどのような化学反応を経て酸化ウランとして沈澱するかを解明する。その後、(2)使用済燃料の再処理過程を模擬した溶液条件で、電解還元によってウランを高効率で分離回収する電解システムを構築する。昨年度から本年度にかけておもに(1)について検討した。
昨年度合成した各種塩化ウラン化合物(UO_2Cl_2、UCl_4)を用いて今年度は、それらを無機イオン液体あるいは水溶液中に溶存させ、溶存しているウラン錯体の構造解析を行った。分析手法として紫外可視吸光分光法、ラマン分光法、X線吸収微細構造を用いた解析手法である。まず、紫外可視吸光分光法を用いてウラン(IV)錯体の配位環境が著しく変化する溶液組成を調査した。7Mから4M塩化カルシウム溶液中のウランU^<4+>に配位した水分子あるいは塩化物イオンなどのアニオンの数が変化すると観察される吸収ピークエネルギーがシフトした。また、ウランUO_2^<2+>については、U=0伸縮振動に起因するラマンピークが著しくシフトし、赤道面に配位する塩化物イオンの数が変化したことによることが示唆された。上述の情報をもとにX線吸収微細構造(XAFS)を用いて、さらに詳細な解析を進めた結果、7M塩化カルシウム中においてウランU^<4+>に、約3つの塩化物イオンと約5つの水分子が配位していることが分かった。また、ウランUO_2^<2+>については、赤道面に約2つの塩化物イオンと約2つの水分子が配位していることが明らかになった。なお、0.1M程度の希薄な電解質中では、ウランU^<4+>に約9つの水分子が配位し、ウランUO_2^<2+>の赤道面に5つの水分子が配位する。上記実験を実施することによって、無機イオン液体中でのウランの配位環境は希薄な電解質水溶液中のそれと全く異なることを明らかにした。
上記の配位環境に関する知見を得たうえで、無機イオン液体中に溶存するウランUO_2^<2+>の酸化還元挙動を調査した。サイクリックボルタンメトリー、回転電極を用いたリニアスイープボルタンメトリー及びバルク電解によって、UO22+の酸化反応メカニズムが電位に依存して2つ存在することが分かった。すなわち-0.1Vでは、UO_2^<2+>→UO_^+→UO_2^<2+>+UO_2(1電子還元+不均化反応反応)、-0.4VではUO_2^<2+>→UO_2^+→UO_2(2電子還元反応)が生じていることを明らかにした。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] EXAFS analysis of uranium(IV) and thorium(IV) complexes in concentrated CaCl2 solutions2011

    • 著者名/発表者名
      A.Uehara, T.Fujii, H.Matsuura, N.Sato, T.Nagai, K.Minato, H.Yamana, Y.Okamoto
    • 雑誌名

      Proc.Radiochim.Acta

      巻: 1 ページ: 161-165

    • DOI

      10.1524/rcpr.2011.0030

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantitative analysis of Eu2+ and Eu3+ in LiCl-KCl eutectic melt by spectrophotometry and electrochemistry2011

    • 著者名/発表者名
      Tack-Jin Kim, A.Uehara,T.Nagai, T.Fujii, H.Yamana
    • 雑誌名

      J.Nucl.Mater.

      巻: 409 ページ: 188-193

    • DOI

      10.1016/j.jnucmat.2010.12.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Separation of Nd metal by using disproportionation reaction of Nd(II) in molten chlorides2011

    • 著者名/発表者名
      A.Uehara, K.Fukasawa, T.Nagai, T.Fujii, H.Yamana
    • 雑誌名

      J.Nucl.Mater.

      巻: 414 ページ: 336-339

    • DOI

      10.1016/j.jnucmat.2011.05.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Electrochemical behavior and electronic absorption spectra of uranium trivalentions in molten LiCl-CsCl mixtures2011

    • 著者名/発表者名
      T.Nagai, A.Uehara, T.Fujii, N.Sato, H.Yamana
    • 雑誌名

      J.Nucl.Mater.

      巻: 414 ページ: 226-231

    • DOI

      10.1016/j.jnucmat.2011.03.048

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Absorption spectra and cyclic voltammograms of uranium species in molten lithium molybdate-sodium molybdate eutectic at 550 ℃2011

    • 著者名/発表者名
      T.Nagai, A.Uehara, M.Fukushima, M.Myochin, T.Fujii, N.Sato, H.Yamana
    • 雑誌名

      Proc.Radiochim.Acta

      巻: 1 ページ: 151-155

    • DOI

      10.1524/rcpr.2011.0028

    • 査読あり
  • [学会発表] 塩化物溶融塩中のアクチニドオキソイオンの還元反応に関する基礎研究(2)LiCl-RbCl溶融塩中でのPu及びAmの溶存状態2012

    • 著者名/発表者名
      上原章寛、藤井俊行、永井崇之、深潭一仁、宇多健詞、林博和、高野公秀、山名元
    • 学会等名
      日本原子力学会春の年会
    • 発表場所
      福井大学文京キャンパス(福井県)
    • 年月日
      2012-03-21
  • [学会発表] オキソ酸イオンを含む水相と各種酸化還元体を含む有機溶媒中での電子移動反応2011

    • 著者名/発表者名
      上原章寛、北辻章浩、木原壯林
    • 学会等名
      日本ポーラログラフ学会
    • 発表場所
      沖縄県男女共同参画センター「てぃるる」(沖縄県)
    • 年月日
      2011-12-01
  • [学会発表] Thermodynamic Properties of Trivalent Lanthan de and Actinide Ions in Alkali Chloride and Alkaline Earth Chloride Mixtures2011

    • 著者名/発表者名
      T.Fujii, A.Uehara, K.Fukasawa, T.Uda, T.Nagai, N.Sato, H.Yamana
    • 学会等名
      International symposium on molten salts and ionc liquids
    • 発表場所
      カンクン(メキシコ)
    • 年月日
      2011-11-29
  • [学会発表] Formation of Uranium Fluoride Complex by Addition of Fluoride Ion to Molten NaCl-CsCl Eutectic2011

    • 著者名/発表者名
      A.Uehara, O.Shirai, T.Fujii, T.Nagai, N.Sato, H.Yamana
    • 学会等名
      MS09
    • 発表場所
      トロンハイム(ノルウェー)
    • 年月日
      2011-10-06
  • [学会発表] Electrochemical Study of Uranium Ions in Highly Concentrated Electrolyte Solutions2011

    • 著者名/発表者名
      A.Uehara, O.Shirai, T.Fujii, T.Nagai, H.Yamana
    • 学会等名
      Shikata Discussion 2011
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      2011-05-28
  • [学会発表] Electrochemical Study of Uranium Ions in Calcium Chloride Hydrate Melts2011

    • 著者名/発表者名
      A.Uehara, O.Shirai, T.Fujii, T.Nagai, H.Yamana
    • 学会等名
      ICAS 2011
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2011-05-24

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公開日: 2013-06-26  

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