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2010 年度 実績報告書

ウランを内含した多孔性金属有機骨格の創成と機能

研究課題

研究課題/領域番号 22760679
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

青柳 登  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門放射化学研究グループ, 研究職 (80446400)

キーワードウラニル錯体 / 光機能性物質 / 多孔性金属有機骨格 / アクチノイドの化学
研究概要

本研究テーマでは,ウラニルイオン(UO_2^<2+>)をホスト分子に組み込んだ多孔性金属有機骨格(MOF)を構築することを目的とし,その前段階における予備実験として機能性ウラニル錯体の合成に取り組んだ.研究実施計画にも記載されているように,本年度はMOFの合成自体というよりもリンカーとなりうる配位子の検討・あるいは有機配位子の合成に力点をおいた.
今年度はチオシアン酸イオンを有効なリンカーとして活用できるかどうかを検討した.この配位子はウラニルイオンのような「かたい」金属に対しては窒素原子をドナーとして配位することが知られているが,貴金属のような「やわらかい」金属に対しては硫黄原子をドナーとして配位結合するため両座配位子とよばれ,リンカーとして要求される結合形態をとりうると考えた.
具体的には,ウラニル-ペンタキスイソチオシアナト錯体をMOFのようにカチオンをイミダゾリウム誘導体としたイオン対からなる液状錯体にすることに成功した.この物質はアクチノイド化合物には珍しいサーモクロミック特性を有することが発見された.カチオンのアルキル鎖長を短くすることでこの錯体は室温で固体となったため,単結晶X線で構造解析が可能となった.その結果ウラニル赤道面の構造に異方性があることが分かった.また,固液相転移に伴なって発色も変化することが分かった.
結晶構造解析からは「配位空間」はMOFのそれと比べてゲスト分子を取り込むほど大きくなく,このアプローチは本来目的である「固体の」MOFの合成からは多少逸脱するように見えるが,リンカー配位子を無機イオンにすることで得られたセレンディピティとも言える.その結果がアクチノイド物質の新たな機能の発見につながったことから,一定の成果を収めつつあると言える.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Thermochromic properties of low-melting ionic uranyl isothiocyanate complexes2011

    • 著者名/発表者名
      N.Aoyagi, K.Shimojo, N.R.Brooks, R.Nagaishi, H.Naganawa, K.Van Hecke, L.Van Meervelt, K.Binnemans, T.Kimura
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 47 ページ: 4490-4492

    • DOI

      10.1039/c0cc05550f

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Applications of time-resolved laser fluorescence spectroscopy to the environmental biochemistry of actinides2011

    • 著者名/発表者名
      R.N.Collins, T.Saito, N.Aoyagi, T.E.Payne, T.Kimura, T.D.Waite
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Quality

      巻: 40 ページ: 719-730

    • DOI

      10.2134/jeq2010.0166

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Application of parallel factor analysis for time-resolved laser fluorescence spectroscopy: Implication for metal speciation studies2010

    • 著者名/発表者名
      T.Saito, H.Sao, K.Ishida, N.Aoyagi, T.Kimura, S.Nagasaki, S.Tanaka
    • 雑誌名

      Environmental Science and Technology

      巻: 44 ページ: 5055-5060

    • 査読あり
  • [学会発表] Thermochromism in uranyl thiocyanate complexes2010

    • 著者名/発表者名
      N.Aoyagi, K.Shimojo, R.Nagaishi, H.Naganawa, T.Kimura
    • 学会等名
      Pacifichem 2010
    • 発表場所
      コンベンションセンター(アメリカ・ハワイ)
    • 年月日
      2010-12-16

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公開日: 2012-07-19  

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