研究概要 |
当初の研究実施計画通り,前年度に作成した数値計算コードを用いて,降り注ぐ太陽光パワーに対するレーザー媒質での総吸収パワー,太陽光パワーを吸収したレーザー媒質上での最大パワー密度,およびその励起分布の均一性を評価指標として,レーザー媒質,太陽光キャビティの設計・試作を行った.また,本設計には前年度に考案した新しい集光系モデルを組み込んで行った. さらに,レーザー媒質の形状,散乱損失等を計測する事により,従来のCr:Nd:YAGセラミックスからNd:YAG結晶へとレーザー媒質を変更し,形状も変更する事により,レーザー共振器内での損失を減らす設計を行った. その結果,2×2mのフレネルレンズを一次集光系として用いた太陽励起レーザー装置を作成し,最大レーザー出力120Wを得る事に成功した.これはレーザー出力としては1.5倍の向上に成功した事になる.また,この結果は総合エネルギー効率指標(Tbtal area performance)にすると30[W/m^2]となり,他の研究機関で行われた反射型集光系を一次集光系として用いた研究における最高記録である6.7[W/m^2]のおよそ4.5倍に相当し,効率の世界最高記録を大きく更新した事になる.なお,本結果は現在論文投稿中である. 以上の事から,研究実施計画通り,前年度に作成した計算コードを用い,総吸収パワー,最大パワー密度および励起パワー密度の分布を考慮する事により評価指標を確立し,それらの評価指標から太陽励起レーザーの集光系およびレーザー媒質を設計する事により,レーザー出力,効率の大幅な向上に成功した.
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