研究概要 |
本年度はゼオライト/水系および酸化マグネシウム/水系で直接接触式による水蒸気生成工程および脱着・脱水工程を検討した.既往の研究例が少ないため,まずは単純にペレット粒子を円筒容器内に充填した反応器へ水を導入して吸着熱もしくは水和反応熱で水蒸気生成を行い,その後,乾燥空気を導入して脱着もしくは脱水反応させた.ゼオライト/水系で常圧下での水蒸気生成を試みた.特に水を充填層下部および上部から導入し,導入方法を検討した.その結果,いずれの方向から導入しても水蒸気生成でき,物質収支,熱収支は誤差10%以下であった.実験結果より,上部から導入した方が必要最小限の水導入量で水蒸気生成できることがわかった.このとき,均一に水を導入することが重要であることもわかった.脱着工程では,乾燥ガスにより脱着できることを確認した.このとき吸着率の比較的大きい脱着初期では,ガス温度よりもガス流速に脱着速度が依存することがわかった.脱着が進行すると,ガス温度の依存性が大きくなることもわかった.これは,吸着率の高い状態は粒子表面の境膜での移動現象が支配的で,脱着の進行により粒子内部の拡散の影響が大きくなった結果であると考えられる.一方,酸化マグネシウム/水系でも同様に検討したが,酸化マグネシウム粒子は耐水性が乏しく,水との接触で蒸気生成するのに適さないこと,減圧操作を併用して脱水温度を低下させようと試みたが,200℃に加熱してもほとんど反応が進行しなかったため,酸化マグネシウム/水系は低温排熱を利用しようとする本システムに適さないことがわかった.
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