研究概要 |
本研究は,再生可能エネルギーを利用した風力発電の更なる普及促進,有効利用を図るため,日本を始めとした複雑地形において高い発電性能と出力変動低減効果を有する系統連系用風力タービンの複数台併結運転システムを数値シミュレーションを通して確立する.ウィンドファーム内のN台の風力タービンのAC発電出力を1台の大容量PMWコンバータ/インバータを介して連系すると,いずれの風力タービンの回転数も印加周波数に拘束されて等しくなり,N倍の回転慣性モーメントを持った1台の超大型システムと力学的に等価と見なせる.そこで,印加周波数を適切に操作することで複数台の風力タービンの回転数を風速変動に応じて一括して変化させ,風力タービンの出力動力和が最大となる動作点での運転を実現しながら,増加した回転慣性モーメントを積極的に利用して出力変動を低減する. 平成22年度は,まず,数値シミュレーションにより1基の系統連系用風力発電システムにおいて回転慣性モーメントを変化させた場合の出力変動特性を分析し,低風速域で回転慣性モーメントの増大による出力変動抑制効果が大きいことを明らかにした.高風速では回転慣性モーメントの影響が比較的小さくなるが,翼のピッチ角操作により最大出力を定格出力よりも抑制することで出力変動を大幅に低減できることを明らかにした.以上を踏まえて2基の風力タービンを併結した時のシステムの運転動作点を調査し,両風力タービンに流入する風速の変化に応じて2台の風力タービンの出力が最大となる動作点を明らかにした.次年度は併結台数を増やした時の最大出力動力点を明らかにするとともに,風速変動下での安定した運転を実現するための負荷制御方法について検討する.
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