研究概要 |
本研究では高い発電性能と出力変動低減効果を両立しうる系統連系用風力タービンの複数台併結運転システムを提案するために,その回転数制御方法の確立を目指した.前年度は,高風速下で併結運転を行った時に生じうる風力タービンの出力制限方法の確立を行った.これを受けて平成23年度は,併結運転時のシステムの目標運転動作点(流入風速に対する併結回転数の決定方法)を明らかにし,その上で変動風況下での制御方法について検討を行った.まず,翼素・運動量理論による風力タービンの出力特性算出モデルを構築し,複数台風力タービンを電気的に併結(回転数がいずれの風力タービンでも等しくなる)した時の出力特性を分析した.これより,2台から10台の風力タービンを併結したシステムを対象に,風力タービンに流入する風速がそれぞれ異なる場合の併結運転システムの最大出力点(回転数)を明らかにした.最大出力点は各風力タービンの流入風速により大きく異なるが,全風力タービンに流入する気流動力を全風力タービンに作用する気流慣性トルクで除することで得られる併結運転システムの代表風速を用いることで,併結台数,流入風速のばらつきによらず,周速比(風力タービン翼端周速/代表風速)がほぼ一定となることを明らかにした.その上で,変動風速下でこの目標動作点(周速比)での運転を行うための負荷トルク制御方法の検討を行った.風速変化に対する出力変動を低減するため,目標回転数に対する回転数のフィードバック制御は敢えて採用せず,最大出力点で加えるべき負荷トルクを,風力タービンの出力特性算出モデルを制御装置内部モデルと見なして算出した.さらに,各風力タービンの流入風速に応じて負荷トルクを分配し,風力タービンの負荷である誘導発電機のすべり周波数制御を行うことで,風速変動に対して最大出力点の追従が可能であることを,数値シミュレーションを通して明ちかにした.
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