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2011 年度 実績報告書

姉妹染色分体間に特異的に接着を形成するためのメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 22770005
研究機関東京大学

研究代表者

須谷 尚史  東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30401524)

キーワード染色体 / ゲノム維持 / 細胞周期 / DNA複製 / アセチル化
研究概要

DNA複製より生じた姉妹染色分体対はコヒーシン複合体で接着され解離しないようになっており、これは生物のもつゲノム維持のための重要な機構の一つである。近年の研究により、コヒーシンサブユニットSmc3のアセチル化酵素Eco1によるアセチル化が接着の形成時に重要な働きをすることが示されている。本研究課題は、Smc3アセチル化が細胞周期においてどのように制御されているか解明することを目的としている。本年度の主な結果は次の通りである。
1、Eco1がDNA複製と共役してアセチル化反応をおこすメカニズムを知るために、Eco1と相互作用するDNA複製装置中の因子の同定を試みた。その結果、既報のあるPCNAの他に、DNAヘリケースであるMcmサブユニットとも物理的相互作用を示すことを見いだした。
2、Eco1と直接的な相互作用は行わないが、Eco1による効率的なアセチル化反応に必要な因子の探索を行い、Ctf4,Ctf18,Chl1等の5因子を見いだした。いずれも生育に非必須だが、DNA損傷応答反応との関係が示唆されている因子であった。
3、ChIP-seq法により、DNA複製装置は染色体上でコヒーシンが存在する位置に到達すると一時的に停止することを示唆する結果を得た。
以上から、Eco1によるアセチル化反応とDNA複製の共役は多数の因子が関与する想像以上に複雑な機構であることがわかってきた。2で述べたEco1と直接結合しないにも関わらずアセチル化反応を促進する因子の存在は興味深い。3の知見と考えあわせ、DNA複製装置がコヒーシンと会合すると一種の"複製障害"状態が引き起こされ、その刺激がCtf18,Chl1等の因子を介してEco1の活性化を誘導していると考えられ、現在この仮説の妥当性を検証しているところである。Eco1の制御機構の詳細な理解へ向けて本年度も研究を十分進展させられたと考えている。

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公開日: 2013-06-26  

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