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2011 年度 実績報告書

ヘテロクロマチン領域で転写を維持する核内テリトリーとクロマチン構造の多角的解析

研究課題

研究課題/領域番号 22770008
研究機関中部大学

研究代表者

後藤 友二  中部大学, 生命健康科学部, 助手 (70362522)

キーワード転写制御 / 不活性X染色体 / Matrix attachment region / KLHL15 / ヒストン修飾
研究概要

本研究では細胞核での遺伝子発現を統合的に理解するために哺乳類の不活性X染色体上で不活性化を免れる遺伝子をモデルにクロマチンレベル、核構造レベルでの転写制御を明らかにするために研究を行ってきた。ほ乳類では雌(XX)雄(XY)間の性染色体の遺伝子量を補正するために雌細胞では2本あるX染色体の一方を転写レベルで不活性化する。しかしヒトでは例外的に不活性化を免れる遺伝子が存在しており、昨年度は不活性化を免れる遺伝子EIF2S3と近傍で不活性化を受ける遺伝子の間の領域にあるMatrix attachment region(MAR)と呼ばれる核マトリクス(核の骨格)に結合する配列に着目し、この領域のピストン修飾が不活性化を免れるのに重要である可能性を示した。
本年度はEIF2S3の近傍で不活性化される遺伝子KLHL15領域におけるMAR配列とヒストン修飾に関して解析を行った。その結果、1)KLHL15遺伝子内には5つのMAR候補配列があり、4箇所は不活性X特異的に核マトリクスに結合し、2)SATB1がこれらの4箇所のMARに結合すること、3)核マトリクスに結合しているMAR周辺ではヘテロクロマチンマーカーであるH3K9やH3K27がtriメチル化されている事などが明らかになった。以上の結果から不活性化を免れる遺伝子はMARにより近傍の不活性される遺伝子とは別のクロマチンループに配置され、それがヒストン修飾を含むクロマチン構造の境界となり、転写を維持する構造を形成していると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

核内での転写制御の理解という課題に対して各年度に設けた研究計画に関して、1)活性Xと不活性Xの核内局在変化、2)不活性化を免れる遺伝子領域のクロマチン構造の解析の2点はすでに予定通り達成できていることから、おおむね順調に進呈していると評価した。

今後の研究の推進方策

今後の予定として、不活性化を免れる遺伝子領域が他の常染色体の特定の領域と相互作用をしている可能性を3Cアッセイ法で検討を行う、クロマチン構造を人為的に破壊した場合の不活性化を免れる遺伝子の挙動の解析を等を計画通り行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular Network Associated with MITF in Skin Melanoma Development and Progression2012

    • 著者名/発表者名
      Yajima I, Kumasaka MY, Thang ND, Goto Y, Takeda K, Iida M, Ohgami N, Tamura H, Yamanoshita O, Kawamoto Y, Furukawa K, Kato M
    • 雑誌名

      J Skin Cancer

    • DOI

      10.1155/2011/730170

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antioxidative effects of cherry leaves extract on tert-butyl hydroperocide-mediated cytotoxicity through regulation of thioredoxin-2 protein expression levels2011

    • 著者名/発表者名
      Taguchi N, Uemura N, Goto Y, Sakura M, Hara K, Niwa M, Iida M, Yanagishita T, Watanabe D, Kato M
    • 雑誌名

      J Toxicol Environ Health A

      巻: 74 ページ: 1240-7

    • DOI

      10.1080/15287394.2011.570229

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sunlight exposure-mediated DNA damage in young adults2011

    • 著者名/発表者名
      Kato M, Iida M, Goto Y, Kondo T, Yajima I
    • 雑誌名

      Cancer Epidemiol Biomarkers Prev

      巻: 20 ページ: 1622-8

    • DOI

      10.1158/1055-9965

    • 査読あり
  • [学会発表] 不活性化を免れる遺伝子EIF2S3上流にあるクロマチン構造の解析II2011

    • 著者名/発表者名
      後藤友二
    • 学会等名
      日本遺伝学会第83回大会
    • 発表場所
      京都大学(京都)
    • 年月日
      2011-09-20

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公開日: 2013-06-26  

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