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2011 年度 実績報告書

絶対送粉共生が加速させる植物と送粉者の多様化

研究課題

研究課題/領域番号 22770017
研究機関京都大学

研究代表者

川北 篤  京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (80467399)

キーワードコミカンソウ科 / ハナホソガ属 / 共進化 / 多様化 / 種特異性 / 絶対送粉共生 / 分子系統
研究概要

密接に関わり合う生物同士の関係には、しばしば目を見張るほどの著しい多様化を遂げたものがある。イチジクとイチジクコバチ、あるいはユッカとユッカガの間の絶対送粉共生はその例だが、こうした緊密な種間相互作用がどのように両者の多様化を促すのかについてはまだよく分かっていない。本研究は、コミカンソウ科植物とハナホソガ属蛾類の間の絶対送粉共生をモデルとして、両者の共生関係の全貌を世界規模で明らかにしつつ、共生系の成立がどれほど両者の多様化を促進したのかを、分子系統解析を用いて解明することを目的としている。
前年度は、これまで全くの手つかずだった新大陸におけるコミカンソウ科植物の生態を明らかにすべく、カリブ海諸島(ジャマイカ)で野外調査を行い、新大陸の一部の種においても絶対送粉共生が見られることを明らかにした。この成果を受けて今年度の前半は分子系統解析を主に進め、コミカンソウ科の中でハナホソガと共生関係にある種群は、そうでない種群より多様であるという結果をより強固なものとした。
こうした中で、ハナホソガがどのように植物の多様化を促すのかについて、新しい考えが浮上した。コミカンソウ科の中でハナホソガと共生関係にある種群は、そうでない種群より多様であるだけでなく、一つの地域に共存している種数も多い。前者と後者で地理的な分布の広さに大きな違いはないことから、種の多様性の違いは、一地域に共存できる種の数が大きく影響している。そこで今年度は琉球列島、およびマレーシアで調査を行い、送粉様式ごとにどれだけのコミカンソウ科植物が同所的に生育しているのかを明らかにし、また奄美大島において、同所的に生育するコミカンソウ科植物の生殖隔離にハナホソガの種特異性が特に大きく関わっていることを明らかにした。分子系統解析の結果と合わせて、これらの結果を統合した論文を執筆する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Sticky plant captures prey for symbiotic bug : is this digestive mutualism?2012

    • 著者名/発表者名
      Anderson, B., A.Kawakita, I.Tayasu
    • 雑誌名

      Plant Biology

      巻: (印刷中)(掲載確定)

    • DOI

      10.1111/j.1438-8677.2012.00573.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Allopatric distribution and diversification without niche shift in a bryophyte-feeding basal motb lineage (Lepidoptera ; Hicropterigidae)2011

    • 著者名/発表者名
      Imada, Y., A.Kawakita, M.Kato
    • 雑誌名

      Proceedings of the Royal Society B

      巻: 278 ページ: 3026-3033

    • DOI

      10.1098/rspb.2011.0134

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increased gene sampling strengthens support for higher-level groups within leaf-mining moths and relatives (Lepidoptera : Gracillariidae)2011

    • 著者名/発表者名
      Kawahara, A., I.Ohshima, A.Kawakita, et al
    • 雑誌名

      BMC Evolutionary Biology

      巻: 11 ページ: 182

    • DOI

      10.1186/1471-2148-11-182

    • 査読あり
  • [学会発表] ハナホソガ属における送粉行動の喪失:共生から寄生への進化はどのように起こるのか2011

    • 著者名/発表者名
      川北篤・加藤真
    • 学会等名
      種生物学会
    • 発表場所
      富士Calm
    • 年月日
      2011-12-09
  • [学会発表] Plants with specialized pollinators : Do they diversity more rapidly?2011

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Kawakita
    • 学会等名
      Thp 5th International Symposium of the Biodiversity & Evolution Global COE
    • 発表場所
      京都大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-09
  • [図書] 種間関係の生物学:共生、寄生、捕食の新しい姿2012

    • 著者名/発表者名
      川北篤・奥山雄大(責任編集)
    • 総ページ数
      399
    • 出版者
      文一総合出版
  • [図書] 生物のつながりを見つめよう2012

    • 著者名/発表者名
      川北篤, ほか
    • 総ページ数
      69
    • 出版者
      文一総合出版
  • [備考]

    • URL

      http://www.ecology,kyoto-u.ac.jp/~kawakita/Phyllantheae-Epicephala_mutualism/Japanese.html

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公開日: 2013-06-26  

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