研究概要 |
外来種対策は世界レベルで緊急に取り組むべき課題である。限られた駆除努力の中で最大の効果を上げることを念頭において政策決定を行う必要がある。一種の外来種の駆除を考えた場合でも、複数の局所個体群が空間的に独立である場合とそうでない場合とでは、最適な駆除努力の空間配分は異なると考えられる。空間構造に関する知識が得られる事によって、不確実性に頑健な意思決定を行うことのできる数理的手法の開発を目指して研究を行った。 それぞれの局所地域において、vacant,low density,high densityの3つの状態を考え、昨年度、開発したDynamic Information-Gapを用いて空間構造に不確実性がある中で、駆除努力の最適な空間配分を求めた。また、休眠性種子をもつ植物は根絶が難しいと言うことが知られている。その場合は、新しい局所個体群に定着することを阻止することが重要になる。そのために、より他の局所個体群との結びつきがある局所個体群に優先的に管理努力を投資すべきであると言える。また、生物学的防除などの根絶のための手法が確立されている種とそうでない種では、駆除のコストが異なる。他にも、繁殖齢が短い場合や、繁殖力が強いほど高密度になるまでの時間が短く、早い段階での管理努力の投資が重要となると考えられる。このように、外来種の生態学的特性によって駆除努力の空間配分がどのように異なるのかをシステマティックに求め、個々の外来種の特性にあわせた駆除手法を提示できるような一般理論を構築した。
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