外来種の駆除を考える際、複数の潜在的な生息地間で外来種の移動が起こりうる場合と、そうでない場合では、複数の生息地への最適な駆除努力の空間配分は異なると考えられる。空間構造に関する不確実性に頑健な意思決定を行うことが重要となる。情報ギャップ理論を用いて、空間構造に関するbest estimateに対して、駆除努力の最適空間配分を導出するための数理モデルを構築した。どのような要因で外来種が分散しているのか、または個体の分散能力などの情報が得られれば、空間構造の把握に役立つ。情報の価値を、情報がある場合とない場合の管理目標の最低条件を満たすために必要なコストの差と定義し、空間構造や生態学的パラメータを知ることの価値の定量化を行った。また、アメリカで外来植物として問題となっているパンパスグラス(Cortaderia jubata)の生態学的データを用いて、パンパスグラスのメタ個体群の空間構造に不確実性がある中で、駆除努力の不確実性に頑健な空間配分をシミュレーションモデルを用いて導出した。
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