グルコマンナンは高等植物の細胞壁に普遍的に見られる多糖類で、コンニャクの主成分である。グルコマンナンは糖ヌクレオチドであるGDP-マンノースとGDP-グルコースから合成されるが、これらの合成機構には不明な点が多い。kjc1とkjc2は、細胞壁のグルコマンナン量が低下したシロイヌナズナ変異体であり、いずれも機能不明の糖ヌクレオチドピロホスホリラーゼ様遺伝子を欠損している。これらの変異体についてGDP-糖合成活性を調べたところ、kjc1ではGDP-マンノース合成活性が1割以下に低下していることが分かった。一方で、kjc2では活性に大きな変化は見られなかった。このことから、シロイヌナズナではKJC1が主要なアイソフォームであると考えられる。現在、GDP-グルコース合成活性についても調べている。また、kjc1では細胞壁構成糖のうちマンノースのみが半減していた。kjc1はマンナンやグルコマンナンを正常に合成できない変異体であることが確かめられた。さらに、大腸菌により組換えKJC1及び組換えKJC2を作成して性状を解析したが、いずれの酵素もGDP-糖合成活性を示さなかった。動物では、GDP-マンノースとGDP-グルコースは複数のタンパク質から成る複合体で合成されることが報告されており、KJC1やKJC2は単独では活性を示さない可能性がある。そこで、複数タンパク質の共発現系でこれらの酵素の性状を調べている。
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