ホスファチジルイノシトール3リン酸(PI3P)と呼ばれるイノシトールリン脂質はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3キナーゼ)によって合成され、脂質メッセンジャー分子として生体内の様々な生命現象に関わっている。植物ではPI3キナーゼの欠損株が雄性不稔となることもあり、逆遺伝学を用いた生理機能解明は進んでいない。私はPI3キナーゼの活性調節因子Atg6を使って雄性不稔を回避する遺伝子操作を施し、PI3キナーゼ活性が著しく低下したatg6変異体植物個体を作出することに成功した。本研究では、この手法によって得られたatg6変異体の表現型解析を通して高等植物におけるPI3キナーゼ複合体の明らかな生理機能が明らかになってきた。
|