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2011 年度 実績報告書

植物に保存されたアンチホリン関連タンパク質LrgB遺伝子の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22770044
研究機関熊本大学

研究代表者

武智 克彰  熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70515501)

キーワードコケ植物 / 葉緑体 / 斑入り / 細胞死(PCD)
研究概要

細菌のホリン・アンチホリンシステムであるCidAB/LrgABの構成因子と予測されるLrgBの相同遺伝子は、植物に広く保存されている。しかし、LrgB以外の構成因子の遺伝子は保存されておらず、植物LrgBがホリン・アンチホリンシステムとして機能しているかは不明である。植物LrgBの機能を探るために、被子植物のシロイヌナズナとコケ植物ヒメツリガネゴケの遺伝子欠損ラインを解析することで、遺伝子機能の推定を試みた。シロイヌナズナとヒメツリガネゴケにおけるLrgB欠損変異体では、それぞれ全く異なる表現型が示された。すなわち、シロイヌナズナでは、子葉を含む若い葉に、葉の一部が白色化する斑入りが出現した。葉の発育段階を追って観察すると、発育初期には斑入りは観察されないが、葉が完全に展葉する頃には斑入りが現れた。死細胞染色を行ったところ、白色化した組織の細胞は死んでいることが確認された。これは葉の部分的な老化が促進されたことによるのかを調べるため、老化マーカーとして知られるSAG12の遺伝子発現を確認したところ、遺伝子発現の上昇は確認されなかった。また欠損ラインの葉緑体は、葉の発育に従って、徐々に内膜系が壊れるなど異常な形態を示した。このシロイヌナズナ遺伝子欠損ラインの表現型から、葉緑体特異的なPCD(programmed cell death)が起きている可能性が考えられた。また、この細胞死は長日条件では生じず、短日条件特異的に出現することが分かった。一方、ヒメツリガネゴケLrgB遺伝子破壊ラインの解析の結果、原糸体・茎葉体、どちらの細胞においても、葉緑体には異常は観察されず、またシロイヌナズナのような部分的な細胞死も見られない。しかしながら、先端生長をする原糸体において、細胞が湾曲し、原糸体コロニーの生長が抑制されていた。シロイヌナズナとヒメツリガネゴケの遺伝子欠損ラインの表現型は全く異なるが、植物LrgBのタンパク質としての機能に違いはないが、高度に分業の進んだ被子植物の細胞と、それぞれ個々の細胞の自律性が残されているコケ植物の細胞の違いにより表現型に差異が生じているのではないかと考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Loss of the plastid envelope protein AtLrgB causes spontaneous chlorotic cell death in Arabidopsis thaliana2012

    • 著者名/発表者名
      M.Yamaguchi
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiol

      巻: 53 ページ: 125-134

    • DOI

      Plant Cell Physiol (2011)doi:10.1093/pcp/pcr180

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Three dynamin-related protein 5B genes are related to plastid division in Physcomitrella patens2011

    • 著者名/発表者名
      E.Sakaguchi
    • 雑誌名

      Plant Sci

      巻: 180 ページ: 789-795

    • DOI

      10.1016/j.plantsci.2011.02.003

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒメツリガネゴケにおいて葉緑体分裂に関与するD-アラニン:D-アラニンリガーゼ2012

    • 著者名/発表者名
      谷所幸治
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都産業大学(京都)
    • 年月日
      2012-03-17
  • [学会発表] 緑化した葉の一部が白色化するシロイヌナズナapg17タグラインの解析2011

    • 著者名/発表者名
      山口瑞貴、井村信弥、鍋島一真、明賀史純、篠崎一雄、佐藤博、瀧尾進、武智克彰、高野博嘉
    • 学会等名
      日本植物学会第75回大会
    • 発表場所
      東京大学(東京)
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] Involvement of microRNA in copper-deficiency induced repression of chloroplastic CuZn-superoxide dismutase genes in Physcomitrella patens2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Higash
    • 学会等名
      Moss2011
    • 発表場所
      Black Forest, Germany
    • 年月日
      2011-09-13
  • [学会発表] 緑化した葉の一部が白色化するシロイヌナズナapg17タグラインの解析2011

    • 著者名/発表者名
      山口瑞貴、井村信弥、鍋島一真、明賀史純、篠崎一雄、佐藤博、瀧尾進、武智克彰、高野博嘉
    • 学会等名
      日本植物学会九州支部大会
    • 発表場所
      長崎大学(長崎)
    • 年月日
      2011-05-21

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公開日: 2013-06-26  

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