初年度は、主に葉の形態形成制御におけるリボソーム遺伝子の役割についての理解を更に深めることを目的とし、解析に必要な変異株の作成、およびリボゾームタンパク質(r-protein)に対する抗体の作成を行った。 A)r-protein遺伝子の葉の向軸側および背軸側(表側、裏側)における機能 軽微な向軸側の欠損を示すasymmetric leaves1 (as1)/as2変異株の背軸化の表現型を劇的に促進したr-protein遺伝子変異株rpl4dに着目し、RPL4Dに対して、裏側の発現に限定させるためのtasiR-ARFの標的配列、または表側の発現に限定させるためのmiR165/166の標的配列を接続した遺伝子を構築した。これらの改変RPL4Dが背軸化したas2 rpl4d二重変異株の葉の表現型を相補できるかどうか解析を行った。播種28日後の葉形を観察し、as2型、トランペット型、フィラメント型に分類し、表現型の相補の程度を評価した。その結果、as2 rpl4d RPL4D::cARFは背軸化した葉の表現型を相補し、すべてas2型の葉を発生した。一方、RPL4D::c165の発現により表現型が弱くなりトランペット型やas2型の葉の発生頻度が、それぞれ25%、50%と高くなったが、as2 rpl4dの表現型を完全に回復させることが出来なかった。これらの解析結果から、葉の向背軸制御にはリボソーム遺伝子の背軸側における発現がより重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 B)葉の裏側と表側のリボソームのr-protein組成と機能 背腹性制御における、裏表のリボソームの機能分化、または背腹性遺伝子の発現に特異的なリボソームの機能を仮定した。それぞれを検証するために、葉の裏側と表側でそれぞれ異なるタグ付加したリボソームを発現する株の作成を行った。次年度に、詳細な解析を行う予定である。
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