昆虫類などの体内受精をおこなう動物では、雄交尾器は一般に高い種間多様性を示す。しかし、より柔軟な構造であることが多い雌交尾器の多様性は過小評価されてきた。本研究では、雌交尾器形態の多様性を効率よく検出する手法を確立し、交尾器進化に果たす雌の役割を検討した。交尾中に瞬間固定された各種昆虫サンプルに対し、様々な手法を試みた結果、ベンジルアルコール・安息香酸ベンジル混合液により外骨格を透明化する手法が優れていた。この手法により、①雌交尾器の膜質部は雄交尾器形態に対応した形態を示すことが多く、②その「噛み合わせ」が、交尾時の創傷などのコストを軽減するのに重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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