24年度は計画していた以下の2点と計画になかったが葉緑体DNA複製に関する実験を実施した。 ①前年度までに同定した41因子の葉緑体核様体タンパク質(cpNUC1~41)の機能未知タンパク質について、DNA結合組換えタンパク質を作製する。作製した 組換えタンパク質を用いて、ゲルシフト解析によってDNA結合性を確認し、DNA結合性が確認されたタンパク質について、組換えタンパク質と調製した葉緑体DNAを用いた核様体様構造の再構成実験を行った。その結果、cpNUC1、3、9、11、22についてDNA結合能が確認され、cpNUC1のみがin vitroでDNAと混合するとDNAを凝集し核様体様構造を再構成することができた。 ②上記のDNA結合能が確認されたタンパク質について、遺伝子欠損変異体を入手および過剰発現体を作製し葉緑体の形態および核様 体の形態を観察し、葉緑体分裂や核様体の形態変化への影響を調べた。しかしながら、cpNUC1、3、9、11、22すべての変異体で表現型が見られなかった。 一般的にDNA分配と複製は密接な関係にある。葉緑体DNA分配機構を明らかにするためには、葉緑体DNA複製機構の知見も必要となると考えた。そのため、葉緑体DNA複製がどのように行われているのかクラミドモナスを用いて調査した。その結果、葉緑体DNA複製は細胞周期や葉緑体分裂とは関係なく細胞内レドックスによって制御されていることが明らかになった。
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