研究課題
申請者の研究によって、日本海型イトヨと太平洋型イトヨの間の生殖隔離機構として雑種不妊と求愛行動の分化が同定されていた。またこれら隔離機構のQTLマッピングを行い、原因遺伝子座が、性染色体に局在することが明らかとなっていた。また、日本海型イトヨには、太平洋型イトヨには存在しないネオ性染色体が存在することが明らかになっていた。そこで初年度にはSOLiDシークエンサーを利用して、日本海型イトヨメスの一個体と太平洋型イトヨメスの一個体のゲノム配列を決定した。この際、indelや染色体組み換えも同定できるように、インサート長の異なるロングメイトペアーライブラリを用いた。得られた配列をBioScopeやCLC Genomicsを用いてアラスカ湖産の参照配列(既にネット上で公開)にマッピングし配列を決定した。まず、雑種不妊のQTL領域内でアミノ酸置換を起こしている遺伝子を複数同定した。この中で最も興味深い遺伝子としてクロマチンやDNA結合能を持つ遺伝子を同定した。また、ネオX染色体にヘテロ接合度の低下など、X染色体のゲノム特徴も見い出された。またcomparative genome hybridizationを利用してネオ性染色体の退縮、及び、量的補償のパターンを明らかにした。生殖隔離以外の表現型の種間分化の遺伝基盤についてもQTL解析によって原因遺伝子座を同定した。また、性染色体と常染色体の融合している事例を集めて系統樹上にマッピングし、進化パターン解析を行った。この結果に基づいて、メス減数分裂ドライブが、ネオ性染色体の進化に重要であるという仮説を提唱した。
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巻: (in press)
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http://www.nig.ac.jp/labs/EcoGene/