研究課題
陸上植物は約4.8億年前に水中生活をする藻類から進化した。これまでの形態学的研究と分子系統学的研究の結果から、藻類の中でシャジクモ藻類が陸上植物に最も近縁だと考えられている。陸上植物は1倍体、2倍体両世代で多細胞体制を作る。一方、シャジクモ藻類は1倍体で多細胞体制を作るが2倍体は単細胞である。本研究では、陸上植物の2倍体多細胞体制進化を解明するため、陸上植物の姉妹群候補の一つであり、1倍体世代だけが多細胞体制を作るシャジクモ(Chira braunii)の全生活環を網羅した、トランスクリプトーム解析を進めた。昨年度までに「生命科学系3分野支援活動」(ゲノム研究分野)の協力を得て、次世代シーケンサーを用いたRNA-seq解析を実施し、シャジクモの生活環5ステージ(栄養成長期、生殖器官形成直前期、生殖器官成熟前期、生殖器官成熟後期、リゾイド)の配列を決定しており、本年度はさらに生活環2ステージ(接合子、プロトネマ)の配列を決定した。本研究で得られたシャジクモの生活環合計7ステージのショートリード配列のABySSを用いたde novoアセンブリを実施した。その結果、200bp以上の長さのコンティグについて、k=40でコンティグ数が最大、k=58で最大コンティグ長が最大であった。これらのシャジクモのコンティグの中から、多数の植物特異的遺伝子ファミリーが新たに見つかってきた。これらの結果は、今後、さらに個々の遺伝子の系統解析および発現・機能解析を進め、2倍体多細胞体制獲得の鍵が何であったかを解明する基盤となる。
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Journal of Phycology
巻: 47 ページ: 999-1008
DOI:10.1111/j.1529-8817.2011.01037.x
BMC Research Notes
巻: 4 ページ: 330
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