平成22年度は、まず標本採集のため、4回にわたる海外調査を行った。5/11~5/19は主なフィールドとしているマレーシア、セランゴール州、マラヤ大学演習林を訪れ、これまでに採集できていなかった種の採集を目指し、いくつかの新種を採集することができた。10/17~11/3には、タイ、バンコク近郊、カエンクラチャン国立公園を訪れ、これまでほとんど未調査だった地域であることから、非常に多くの未知種を採集することができた。11/16~11/27には、再びマラヤ大学演習林を訪れ、さらなる追加種の採集を行った。12/16~12/21は香港の嘉道理農場植物園を訪れ、未調査の地域で調査を行い、いくつかの新しい種を得ることが出来た。これらの野外調査と同時に、学生アルバイトの補助を得て、採集した昆虫の標本作製を進め、好蟻性昆虫のまとまったコレクションの一部を形成した。さらに標本から、DNAの抽出、PCR、シーケンスを進めた。また、生物顕微鏡(ニコンエクリプス50i)を購入し、分類学的な基礎づくりのため、分類の研究も進め、いくつかの論文を発表した。論文は軍隊アリと共生するハネカクシに関するもののほか、軍隊アリの捕食対象であるシロアリと共生する好白蟻性のノミバエとハネカクシ(近縁種間で、軍隊アリとの間で寄主転換が見られる)や、潮間帯性ハネカクシ(主題のハネカクシが属するヒゲブトハネカクシ亜科のもので、同亜科の形態学的研究として関連がある)を含んでいる。
|