研究課題
前年度に緑色藻類 Chlamydomonas neoplanoconvexa とこれに近縁な無色藻類 NrCl-902 株において光合成および酢酸の取り込みに明瞭な差があることが示されたため,新たに別の系統群において緑色藻類と無色藻類の増殖特性の比較を行った。具体的には緑色藻類として互いに近縁な Chlorogonium euchlorum および Chlorogonium elongatum の 2 種と,これらに近縁な無色藻類の Hyalogonium fusiforme を対象とした。その結果,これら 3 種はいずれも酢酸イオンを炭素源として増殖できる一方で,光合成による炭酸固定が,酢酸イオン利用時に比べて増殖をどの程度促進するのかについて明瞭な差があった。特に,C. euchlorum と C. elongatum の間でも増殖特性に差が見られたことから,酢酸イオンの利用と光合成の利用の方法が近縁種間で多様化しやすいことが示唆された(日本藻類学会第37回大会発表)。また前年度に Chlamydomonas parallelistriata 種群において近縁種間で細胞サイズとゲノムサイズが大きく異なっていることが示されたため,さらに近縁別種と思われる培養株を追加して比較したところ,中間的なゲノムサイズを示し,本系統群においてゲノムサイズの変化,おそらくは倍数化が頻繁に起こって種分化を引き起こしたことが示唆された。この他,微細藻類の種分化に地理的隔離の影響が少ないことを示すため,Chlamydomoans pseudomicrostigma(Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 誌に論文発表),Gloeomonas 属の未記載種がヨーロッパと日本に分布することを示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Metabolomics
巻: 9 ページ: S178-S187
10.1007/s11306-012-0463-z
Phycologia
巻: 52 ページ: 239-245
10.2216/12-083.1
Journal of Phycology
巻: 48 ページ: 759-767
10.1111/j.1529-8817.2012.01142.x
Acta Phytotaxonomica et Geobotanica
巻: 62 ページ: 69-78
日本微生物資源学会誌
巻: 28 ページ: 135-147