1. 生体資料の継続飼育及び画像・形態データ収集については、前年度より継続している生体資料飼育を継続し、幼虫は脱皮ごとに生体画像を記録した。これにより、成虫記録のなかった2地点において、新たに雌成虫標本を得ることに成功した。 2. 標本資料の画像・形態・採集データ収集については、既に得られた本州中部地方産及び四国地方産のガロアムシ目を中心に液浸標本群約100点を整理し、収蔵した。 3. 西日本産ガロアムシ類の再発見・再記載については、前年度までにようやく日本産全6種全ての記載産地より成虫を得ることに成功したため、その比較を通じた西日本産の2種の評価を行った。得られた成虫試料はいずれも雌成虫であったため、先行研究にはない新たな比較形質の探索を行い、産卵管基部や頸節片などを比較した。その結果、形態において北海道、本州中部、西日本地域の大きな3つの隔たりが認められ、前年度に明らかにした分子系統解析の結果を支持した。また、四国産と九州産の2種間の違いも検出し、こちらは今後分子系統解析と合わせた検討を要する。これらの結果を学会(9月)において発表した。 4. ガロアムシ目の採集及び生息環境調査 採集調査については、北海道・西日本の2回を計画通り実施し、ガロアムシ目の採集及び土壌動物相を中心とした生息環境調査を行った。日本産ガロアムシ類の北方起源に関わる北海道産ガロアムシ類の調査では、道央部での生息を確認できたものの、本州東北地方への移動分散経路として想定される渡島半島については、今回も採集できなかった。また、西日本ではこれまで部分的に調査を行っていた中国地方において、山口県を除く各県で採集に成功、形態・分子の両データを得た。
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