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2011 年度 実績報告書

深海メタン湧出域の多細胞動物における寄生性真核微生物の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22770091
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

瀧下 清貴  独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 主任研究員 (90392951)

キーワード深海 / 原生生物 / 寄生 / 進化 / 多様性
研究概要

昨年度,相模湾初島沖の深海メタン湧出域に生息するシロウリガイ類とシンカイヒバリガイ類の鰓の一部から抽出したDNA及びRNAを用いて,PCR法によりアルベオラータ生物群の18SrRNA遺伝子を特異的に増幅した結果,シロウリガイ類からはアルベオラータに由来する遺伝子配列は得られなかったが,シンカイヒバリガイ類からは新奇なアルベオラータに由来する遺伝子配列が得られた。本年度は,多細胞動物以外の真核生物18SrRNA遺伝子を増幅するPCR検出系を確立し,シロウリガイ類とシンカイヒバリガイ類のDNAを用いて再調査した結果,上記の検出された新奇なアルベオラータ生物がシンカイヒバリガイ類だけではなくシロウリガイ類の体内(鰓)にも存在することが明らかとなった。得られた新奇アルベオラータ生物の18SrRNA遺伝子の塩基配列情報を基に,それを特異的かつ極めて鋭敏に検出するPCR検出系も確立した。相模湾初島沖の水深800mと水深1200mのそれぞれのシロウリガイ類およびシンカイヒバリガイ類集団における該当アルベオラータ生物の「感染率」を,本研究において確立した特異的PCR検出系によって調べたところ,シロウリガイ類では水深1200mの湧出域で感染率が高く,シンカイヒバリガイ類では逆に水深800mの湧出域で感染率が高かいことが明らかとなった。感染率の高かったシロウリガイ類およびシンカイヒバリガイ類コロニー周辺の底泥からは該当アルベオラータ生物の遺伝子配列は検出されなかった。今回得られた研究結果は,本原生生物の分散能力等を含めた生態を明らかにするための重要な知見となりうる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

発見された新奇アルベオラータ生物が,水深の異なるシロウリガイ類およびシンカイヒバリガイ類集団において,大きく異なる「感染率」を有する事象を明らかにしたことは,該当原生生物の生態学的役割を解明する上で重要であり,したがって,本研究は順調に進展していると言える

今後の研究の推進方策

アルベオラータ生物に感染したシロウリガイ類およびシンカイヒバリガイの鰓組織と,感染していないそれらの個体の鰓組織を詳細に観察,比較することによって,該当原生生物の宿主に対する影響を推察する。また相模湾初島沖以外の化学合成生態系に存在するシロウリガイ類およびシンカイヒバリガイ類においても,このアルベオラータ生物が存在するか否かを,今回確立した特異的PCR検出系を用いて調査し,そのdispersal potentialを推察する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Lateral transfer of tetrahymanol-synthesizing genes has allowed multiple diverse eukaryote lineages to independently adapt to environments without oxygen2012

    • 著者名/発表者名
      Kiyotaka Takishita, Yoshito Chikaraishi, Michelle M. Leger, Eunsoo, Kim, Akinori Yabuki, Naohiko Ohkouchi, Andrew J. Roger
    • 雑誌名

      Biology Direct

      巻: Vol.7 ページ: 5

    • DOI

      doi:10.1186/1745-6150-7-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multigene phylogenies of diverse Carpediemonas-like organisms identify the closest relatives of 'amitochondriate' diplomonads and retortamonads2012

    • 著者名/発表者名
      Kiyotaka Takishita, Martin Kolisko, Hiroshi Komatsuzaki, Akinori Yabuki, Yuji Inagaki, Ivan Cepicka, Pavla Smejkalova, Jeffrey D. Silberman, Tetsuo Hashimoto, Andrew J. Roger, Alastair G.B. Simpson
    • 雑誌名

      Protist

      巻: Vol.163 ページ: 344-355

    • DOI

      doi:10.1016/j.protis.2011.12.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multigene phylogenetic analyses including diverse radiolarian species support the "Retaria" hypothesis : the sister relationship of Radiolaria and Foraminifera2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Ishitani
    • 雑誌名

      Marine Micropaleontology

      巻: 81 ページ: 32-42

    • DOI

      10.1016/j.marmicro.2011.06.007

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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