研究課題
昨年度,相模湾初島沖の深海メタン湧出域に生息するシンカイヒバリガイ類の鰓組織から新奇な寄生性アルベオラータ生物に由来するrRNA遺伝子を検出し,その該当原生生物がシンカイヒバリガイ類の鰓上皮細胞(バクテリオサイト)内に特異的に存在することをホールマウントin situハイブリダイゼーションによって確認した。今年度は,PCR検出法を改良することによって,相模湾初島沖においてシンカイヒバリガイ類とほぼ同所的に存在するシロウリガイ類においても,同じアルベオラータ生物が存在することを明らかにした。しかし,相模湾初島沖の化学合成生態系においてシンカイヒバリガイ類やシロウリガイ類とともに代表的なメガベントスであるハオリムシ類からは,該当のアルベオラータ生物およびそれ以外の寄生性原生生物に由来するrRNA遺伝子は検出されなかった。さらに伊豆・小笠原弧の明神海丘や沖縄トラフの伊平屋北の熱水噴出域に生息しているシロウリガイ類やシンカイヒバリガイ類においても,同様の改良PCR検出法を用いて調べたが,該当のアルベオラータ生物およびそれ以外の寄生性原生生物に由来するrRNA遺伝子は検出されなかった。ただし,相模湾初島沖以外の二枚貝類に関しては調べた個体数が少ないため,相模湾初島沖産の二枚貝類から検出された寄生性アルベオラータ生物が,同海域におけるエンデミック種であると断定することは現段階ではできない。今後,日本近海以外の化学合成生態系に生息する様々なメガベントスも含めて,徹底的に調査することにより,この寄生性アルベオラータ生物の分散能力および宿主特異性が明らかになると期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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