研究概要 |
ヒトの尿素トランスポーターのバクテリアホモログとして、硫酸還元菌(Desulfovibriovulgaris)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来の尿素トランスポーターをクローニングした。C末端ヒスチジンタグ融合タンパク質として大腸菌内で発現させ、膜画分を分画後、界面活性剤で可溶化した。可溶化サンプルをNiアフィニティークロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーにて精製したところ、特に硫酸還元菌由来の尿素トランスポーター(dvUT)が安定であることが分かった。次に、dvUTの各種界面活性剤存在化での会合状態をゲルろ過クロマトグラフィーを用いて調べたところ、デシルマルトシド存在下でシャープな単分散ピークを示したことから、デシルマルトシドを用いた精製サンプルでの結晶化を試みた。シッティングドロップ蒸気拡散法で結晶が得られ、大型シンクロトロン放射光施設SPring-8にて回折データを測定したところ約6Å分解能の回折データが得られた。結晶の改善を試みたが、芳しくなかったため、モノクローナル抗体との複合体による結晶の改善を目指した。マウスを用いたモノクローナル抗体の作製を試みたが、同時期に、他グループからNature誌にdvUTの結晶構造が報告された(Levin EJ., et al.Nature)ため、現在はヒトの尿素トランスポーターの結晶化を目指しいている。
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