研究概要 |
DNAポリメラーゼ ゼータ(Polζ)とREV1は損傷乗り越えDNA合成における中心的なDNA合成酵素であり,その機能欠失は胎性致死や高発がん性など,細胞機能に重大な変調を来す.PolζとREV1は複合体を形成するが,その立体構造、相互作用や損傷乗り越えDNA合成のメカニズムは不明である.本研究では,Polζ/REV1複合体の立体構造をX線結晶構造解析によって解明する.また,Polζ/REV1複合体の相互作用を生化学的に解析し,その構築原理を解明することを目指す. Polζ(REV7/REV3複合体)は,pETDuet-1ベクターを利用した大腸菌の共発現系で発現させ,ニッケルアフィニティーカラムクロマトグラフィー,陰イオン交換カラムクロマトグラフィー,ゲル濾過カラムクロマトグラフィーによって精製した.ヒトREV1(1130-1251)はGST融合タンパク質として精製し,その後GSTタグをプロテアーゼで切断した.しかし,REV1(1130-1251)が構造的に不安定なためか,分解する傾向があり,結晶化に適した試料を得ることが出来なかった.そこで,REV1(1130-1251)はGST融合タンパク質として精製し,精製したREV7-REV3複合体と混合することでPolζ/REV1複合体を調製した.得られた試料を用いて,結晶化条件のスクリーニングを行った.様々なタンパク質濃度で結晶化を試みたが現在までのところ結晶は得られていない.今後は安定なREV1が得られる発現系の検討を進め,結晶化を行っていく.
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