研究課題/領域番号 |
22770124
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 徳子 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特任研究員 (90568750)
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キーワード | ミトコンドリア / 細胞内分解 / 品質管理 / 酸化ストレス / 出芽酵母 |
研究概要 |
【平成23年度】ミトコンドリア分別マークタンパク質の新規相互作用因子の探索と解析 出芽酵母の選択的ミトコンドリア分解に特異的に働くタンパク質Atg32にHAタグを付加し、これを発現した株から調製した細胞抽出サンプルにHA抗体アガロースを添加、免疫沈降で得られたタンパク質サンプルをSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離した。次にゲルを銀染色し、HAタグなしのAtg32を発現させたネガティブコントロールのサンプルと比較して、Atg32-HAに特異的なバンドを切り出し、質量分析によりタンパク質を同定した。 その結果、Atg32自身と、我々が既に相互作用を明らかにしているAtg11が見出された。加えて、これまでにAtg32との相互作用が知られていなかったタンパク質が明らかとなった。その中には、タンパク質のリン酸化や分解に関与する因子や、ミトコンドリア内膜のタンパク質が含まれる。Atg32はミトコンドリア外膜タンパク質であり、ミトコンドリア分解が起こる際にリン酸化され、その後Atg32の発現量は減少してゆくが、その仕組みは不明である。また、Atg32はミトコンドリア外膜と内膜の間の膜間スペースにドメインを露出しているが、このドメインの機能はよくわかっていない。 今回同定されたタンパク質は、これらの問題に関与する可能性が高いと考えられる。そこで、Atg32との相互作用を再確認する実験と、候補因子の欠損がミトコンドリア分解に及ぼす影響の解析を現在進めている。本研究で得られた知見から、ミトコンドリア分解を制御する仕組みの理解が一層深まるものと期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫沈降法と質量分析による新規相互作用因子の探索の第1段階は終了し、候補因子との相互作用の再確認や欠損変異体の表現型解析などの第2段階に移行している。このような状況を考慮し、研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリア分別マークタンパク質Atg32と相互作用している可能性のある候補因子について、免疫沈降およびウェスタンブロッティングにより、結合を再確認する。また、候補因子を欠損する変異体を作製し、ミトコンドリア分解に対する影響を調べる。
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