研究課題
リサイクリングエンドソームは細胞周期の間期では細胞質に点在しているが、細胞分裂前期から終期にかけては中心体を取り巻くようにクラスターを形成するようになる。次いで細胞質分裂時には細胞間橋とフレミングボディに局在を変化させ、細胞質分裂が終わると再び細胞質に分散する。このようなリサイクリングエンドソームの局在変化は、分裂期における膜やタンパク質の輸送調節に重要な役割を果たしている可能性がある。その分子メカニズムを明らかにするためには、どのようなタンパク質が分裂期のリサイクリングエンドソームに存在するのかを同定し、どのようなタンパク質によって輸送が制御されているかを明らかにする必要がある。そこで本研究では、分裂期の細胞からリサイクリングエンドソームを単離精製し、そこに含まれるタンパク質を解析することで分裂期の膜の調節機構の解明を目指した。昨年度はMEFタグを融合させたトランスフェリン受容体の安定発現株からタンデムアフィニティタグ精製によるリサイクリングエンドソームの単離を試みたが、収量が低いという問題があった。本年度はFKBPとFRBドメインの高い結合能を利用した精製法を開発することで収量を高めることに成功した。また、TEVプロテアーゼによってFKBPタグとトランスフェリン受容体の間を切断できるように改良を加え、精製後のサンプルに含まれる非特異的結合タンパク質の混入を減少させた。さらに薬剤による細胞周期の同調条件や精製条件の最適化も行った。今後は分裂期と間期から精製したサンプルに含まれるタンパク質のうち、分裂期に特徴的なタンパク質を同定し解析を行う予定である。
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The EMBO Journal
巻: 31(掲載確定)