研究課題
mRNA品質管理において機能する分解経路が明らかにされてきた。ナンセンスコドン介在型mRNA分鯖(Nonsense-mediated mRNA decay;NMD)、終止コドンリードスルー型mRNA分解(Non-stop decay;NSD)、リボソーム停止型mRNA分解(No-go decay;NGD)であり、いずれもリボソームのmRNA上における一時停止が分解の引き金となる。また、これら異常mRNAから産生されたタンパク質は速やかに分解されることが近年明らかにされた。これら分子機構について、出芽酵母での解析は進展しているものの、哺乳動物細胞では不明な点が多く残されている。本年度は、哺乳動物細胞における終止コドンリードスルーmRNAの品質管理について解析を進め、以下について明らかにした。1)終止コドンリードスルーmRNA量は、正常mRNAと比較して、48±:6%まで減少している。2)このmRNA分解は翻訳依存に引き起こされる。3)終止コドンリードスルーMRNAからのタンパク質産生は、正常mRNAと比較して24±7%まで抑制される。4)1)では翻訳終結因子eRF3-eRF1類似のHbs1-Dom34が、2)ではE3ユビキチンリガーゼListerinが機能する。昨年度の結果と併せて、以下の分子機構を想定している。終止コドンリードスルーmRNAではリボソームはmRNAの3'末端poly(A)鎖まで翻訳を続ける。一部のリボソームはpoly(A)鎖上で停止し、この停止したリボソーム上に残されたタンパク質はListerinによりユビキチンが付加され速やかに分解される。リボソームがmRNAの3'末端まで達すると、これをHbs1-Dom34が翻訳終結反応に類似した機構で検知し、Hbs1を介してエキソソームがリクルートされmRNAは3'→5'方向への分解を受ける。
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EMBO J.
巻: 30 ページ: 1311-1323
10.1038/emboj.2011.37