研究課題
本研究は、鱗翅目昆虫のカイコ体内において、血液から絹糸産生細胞内へ脂溶性カロテノイド色素ルテインを選択的に輸送するC遺伝子と、ベータカロテンを選択的に輸送するF遺伝子の機能を培養細胞で再構成し、その再構成系を用いたキメラ遺伝子の解析等を行うことで、細胞のカロテノイド取込みの選択性が生まれる分子機構を明らかにすることを目標としている。C遺伝子は病原体の感染成立に関与することが知られているCD36遺伝子群に属する膜タンパク質Cameo2をコードすることが明らかとなっている。F遺伝子も同様の膜タンパク質をコードすると予想されていた。F遺伝子と予想された膜タンパク質遺伝子のゲノム配列上の近傍にパラログが4つ見出されたので、それらのパラログについて、F遺伝子の野生型個体と変異体で配列と発現量を解析した。その結果、計5個の遺伝子のうち3個の遺伝子の発育段階を追った発現量変化がベータカロテンの取り込みの度合いと正の相関を示した。また、その3個の遺伝子のうち1個の遺伝子については変異体のゲノム配列に大きな挿入が起きていることを見出した。この1個の遺伝子とCameo2について、培養細胞で強制発現させるための遺伝子導入ベクターの構築を行った。また、培養細胞で機能再構成を行うための実験条件の検討を行った。機能再構成のために共発現が必要となることが予想されるカロテノイド輸送関連因子について、遺伝子配列の詳細を解析し、それらを培養細胞で発現させるための遺伝子導入ベクターの構築を行った。
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Genetics
巻: VOL.187 ページ: 965-976