研究概要 |
私たちは、アクチンフィラメント重合核形成機構の解明のため、本研究において、 Arp2/3複合体とフォルミンの研究を進めた。Arp2/3複合体は、細胞内において、膜近傍のアクチンフィラメントB端(重合端)を枝分かれさせ、新しいB端を増やすという形で重合核を形成する。しかし、その細胞内の正確な分布はわかっておらず、枝分かれ構造の詳細な三次元構造解析も行われていなかった。私たちはオーストリアのJohn Victor Small研究室と共同で、電子線トモグラフィーと負染色法を組み合わせた新しい手法を用いることで、細胞内のアクチンフィラメントネットワークの構造解析に成功。葉状仮足内の各アクチンフィラメントの極性、Arp2/3複合体が作る枝分かれ構造分布をミオシンや抗体等のラベルなしに、純粋に構造情報だけから決定することができたJ.Mol.Biol,2012, J. Cell. Sci, 2012)。本手法は広く細胞骨格の研究に非常に有用であると期待している。また、Arp2/3複合体を含んだ枝分かれ構造の平均化も進めており、現在分解能は2.9nm程度であるが、分解能2nm程度を目指してトモグラフィーの条件決定を進めている。
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