視物質ロドプシンのバソ中間体とその光異性体イソロドプシンの結晶構造を求め、光反応サイクルの初期過程の様子を明らかにし、シグナリングに必須な構造変化を明らかにした。暗順応状態とイソロドプシンの構造を比較すると、レチナールは膜面に平行にポリエン鎖平面を向けており、レチナールと膜貫通へリックス3との立体障害がイソロドプシンを安定に保持することが明らかとなった。一方、暗順応状態からバソ中間体への遷移によってポリエン鎖平面は膜の法線方向へと回転しポリエン鎖は細胞質側へと大きく移動した。この時、レチナールは大きく捻じれ、近傍残基の側鎖に相補的な動きが惹起され、吸収した光エネルギーはレチナールおよび近傍残基の歪みとして蓄えらえることが明らかとなった。
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