本課題の目的は、SOD1/CCS蛋白質に着目し、生体内における銅イオン輸送を制御する蛋白質問分子認識メカニズムを解明することである。この目的を達成するために、平成22年度では金属イオン結合やS-S結合形成といった修飾状態を再現したSOD1及びCCSの作製・精製を行った。各蛋白質を大腸菌に大量発現させたところ、通常の液体培地(LB培地)を用いて大腸菌を培養した場合、SOD1は不溶性の封入体として得られることが分かった。一方で、銅・亜鉛イオンを添加して培養すると、それら金属イオンを結合し、分子内S-S結合を正確に形成した可溶性SOD1を得ることができた。さらに、硫安沈殿・トリクロロ酢酸沈殿などを行い、分子内S-S結合を保持したまま金属イオンを解離させ、Ni^<2+>アフィニティークロマトグラフィーによりSOD1蛋白質の精製を行った。得られたSOD1の精製度を電気泳動法により確認したところ、高分子領域にオリゴマーの形成が認められたため、ゲル濾過クロマトグラフィーをさらに行うことで、オリゴマーを除去し、高純度のSOD1蛋白質を得ることに成功した。また、分子内S-S結合は還元剤であるDTTを添加することで切断できることも確認した。一方で、CCSは三つのドメインからなる蛋白質であるが、各々のドメインを発現するプラスミドについても作製を完了しており、大腸菌内に大量発現させることで、SOD1蛋白質と同様の手法により精製することができると考えられる。
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