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2011 年度 実績報告書

単純な酵素から分子モーターを創ることによる分子機械の設計原理の探究

研究課題

研究課題/領域番号 22770164
研究機関独立行政法人情報通信研究機構

研究代表者

古田 健也  独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所・バイオICT研究室, 専攻研究員 (40571831)

キーワード分子モーター / 進化分子工学 / 低分子GTPアーゼ / キネシン
研究概要

昨年度の実験の結果,大腸菌由来の試験管内翻訳系で不活性化または凝集化したタンパク質の割合が多く,結果的に変異体ライブラリのサイズが期待されたものより大幅に小さくなることが判明した.これは計画当初からある程度予測されていたことではあるが,その割合は予想を上回るものであった.今後は(1)この不活性化の問題と,(2)機能を持ったわずかな数の個体を高効率でスクリーニングするための実験系の構築に注力する必要がある.このうち(2)の対策として昨年度の後半に,スクリーニング容器の表面をテフロンコーティングしたあとにPEO-PPO-PEOブロック共重合体をコートすることで,スクリーニング容器表面に対するタンパク質やRNAの非特異的な吸着を大幅に低減することに成功した.引き続き微小な空間へのタンパク質フィラメントアレイの実装と,反応容器表面の不活性化のための表面処理の研究を進める.並行して,タンパク質-分子レベルでの機能の創成だけでなく,天然から得られる既存のモータータンパク質を複数組み合わせて,新たな機能を持つモーター複合体を創成するという方針で実験を実施した.DNAを複合体形成のための足場として利用し,モータータンパク質同士を自己組織化させたあと,この複合体の挙動を全反射蛍光顕微鏡で観察したところ,一分子ではほぼ不活性な分子が,二分子をお互いにリンクさせると協同的に機能を発現することを見出した.この成果については学会発表の後,国際誌に投稿し,現在改訂作業中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

大腸菌由来の試験管内翻訳系では,予想を上回る割合の不活性化したタンパク質が生成されてしまうことが判明し,目的を達するためには,何らかの方法で変異体のライブラリサイズを大きくする必要が出てきたため.

今後の研究の推進方策

「9.研究実績の概要」で述べた問題に対して,(1)は分子シャペロン系の添加や他の宿主由来の試験管内翻訳系の導入で解決を図り,(2)は極性を揃えた高密度のタンパク質フィラメントアレイの開発と,スクリーニングするための反応容器への非特異的な吸着の低減のための研究を進める.また,タンパク質-分子レベルでの機能の創成だけでなく,複数のモータータンパク質を組み合わせて新たな機能を持つモーターを創成する方向の実験も昨年度に引き続き並行して進めていく.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 再構成実験とシミュレーションによる分子モーターのアンサンブル特性の探究2011

    • 著者名/発表者名
      古田健也
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      兵庫県立大学書写キャンパス,姫路,兵庫県
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] Molecular-scale communication systems developed by combination of DNA and protein motors2011

    • 著者名/発表者名
      古田健也
    • 学会等名
      THERMEC '2011
    • 発表場所
      Quebec City Convention Centre, Quebec, Canada
    • 年月日
      2011-08-05
  • [学会発表] COOPERATIVE TRANSPORT BY DEFINED NUMBERS OF PROCESSIVE AND NONPROCESSIVE KINESIN MOTORS2011

    • 著者名/発表者名
      古田健也
    • 学会等名
      ゴードン研究会議
    • 発表場所
      Colby-Sawyer College, New London, USA(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-12

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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